MIT(マサチューセッツ工科大学)とは?
MITは、アメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジに本部を置く研究総合大学です。1861年に創立され、科学技術の発展と社会課題の解決を両立させる「Mens et Manus(Mind & Hand=知と技)」をモットーに掲げてきました。
基本データ
- 正式名称:Massachusetts Institute of Technology
- 創立年:1861年
- 所在地:77 Massachusetts Ave, Cambridge, MA, USA
- 学生数:学部4,576名・大学院7,344名(2025年秋学期時点)
- 教員数:教授1,089名、教職員合計17,180名
- ノーベル賞受賞者:在籍・卒業生・教員を含めて105名
偏差値・入学難易度はどれくらい?
日本の大学選抜指標「偏差値」にMITをそのまま当てはめる公式データは存在しませんが、合格率4〜5%という厳しさから、日本の国公立最難関(東大理IIIなど)に相当する偏差値75〜80相当とみなされることが多いです。実際、最近の入学統計では33,000人超の出願者に対し合格者は約1,300人、合格率4%前後で推移しています。
MITが「すごい」と言われる5つの理由
- 研究力とイノベーション
スタートアップ企業の創出数は累計30,000社を超え、これらの企業の総売上は世界第10位規模の経済圏に相当するとも言われます。 - 圧倒的な受賞歴
ノーベル賞105名、チューリング賞17名、フィールズ賞12名など世界最高峰の賞を多く輩出しています。 - 分野横断の教育モデル
「知と技(Mens et Manus)」を体現する実験・プロジェクト主体のカリキュラムで、学部1年次から研究室配属やUROP(Undergraduate Research Opportunities Program)に参加できます。 - グローバルネットワーク
世界154か国から学生が集まり、日本人学生も毎年50〜100名程度が在籍。アジアを中心とした国際連携研究プロジェクトも多数進行中です。 - 世界大学ランキングの常連
U.S.News 2025-26年版総合ランキング第2位、工学・コンピューターサイエンス・ビジネス分野は全米1位を獲得しました。
世界ランキングと評価指標
MITはQS、Times Higher Educationなど主要4大ランキングで常に世界トップ5以内。特に「論文被引用数」「産学連携収入」「国際性」の指標で高得点を獲得しています。また、工学系専攻のほとんどが学科別ランキング1位を独占しており、近年はAI・量子コンピューティング・気候工学の分野で先導的役割を果たしています。
MITと日本――著名な日本人研究者・卒業生
- 利根川 進(Susumu Tonegawa)―1987年ノーベル生理学医学賞受賞、現在はMITピカワー学習記憶研究所教授として神経回路遺伝学を先導。
- 石井 裕(Hiroshi Ishii)―「Tangible Bits」「Radical Atoms」で知られるHCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)の第一人者。MIT Media Lab副所長・ジェロームB.ワイズナー教授。
- 宮川 繁(Shigeru Miyagawa)―言語学教授・元MIT OpenCourseWare責任者。日本語研究とオンライン教育拡大に貢献。
- 伊藤 穰一(Joi Ito)―日本人初のMITメディアラボ所長(2011〜2019)。オープンイノベーションとインターネットガバナンス分野で国際的影響力をもつ起業家。
- 増渕 浩一(Koichi Masubuchi)―海洋・宇宙構造物の溶接研究で世界をリードし、天皇陛下より瑞宝中綬章を受章。
- 牧野 清子(Kiyo Makino)―1900年代初頭にMITで学んだ日本人初の女性留学生として知られ、女子教育・健康衛生の啓発に尽力しました。
学部・大学院の主な専攻
MITは5つのSchool(Engineering、Science、Architecture & Planning、Management、Humanities, Arts & Social Sciences)とCollege of Computingで構成され、計54の学科・プログラムを提供。特に電気工学・計算機科学(EECS)は全米でも最大規模で、学部生だけで1,300名超が所属しています。
キャンパスライフと学風
“IHTFP”(I Hate This Place, But I Love It)と揶揄されるほど課題はハードですが、学生はHack文化やロボットコンテストなど「遊び心」を忘れません。寮は20棟以上あり、各寮が独自の文化を形成。キャンパス全体が研究所であり実験場という雰囲気で、失敗を恐れずに試行錯誤を重ねる気風が根付いています。
授業料・奨学金
2025-26年度の学部授業料は年間約63,000ドル。MITはNeed-Blind方針の下、合格者全員に家計状況に応じた支援を提供し、学部生の約60%が奨学金を受給。平均授業料負担は約19,000ドルまで抑えられています。
卒業後のキャリア
卒業後3年以内の平均初任給は学士82,000ドル、修士115,000ドル前後。就職先はGoogle、Apple、SpaceXなどのテック企業からマッキンゼー、Bainなどコンサルティング、さらには創業を選ぶ学生まで多岐にわたります。MIT卒スタートアップは年間1,000社以上が誕生し、その約40%が社会課題解決型ビジネスに分類されます。
日本人がMITを目指す場合のアドバイス
- 英語力:SAT 1530〜、TOEFL iBT 105以上が目安。
- 競技数学・科学オリンピック経験:合格者の約20%が国内外の大会で表彰歴を持つと言われます。
- 独創的なプロジェクト:高校在学中に社会実装を伴う研究や起業経験があると高評価。
- 課外活動エッセイ:MITは人物像を重視。自分ならではの問題意識と行動力を具体例で示しましょう。
まとめ
MITは「世界最高峰の理工系大学」として語られるだけでなく、実践を通じて社会を変える“場”でもあります。偏差値換算で75超という狭き門ながら、多様なバックグラウンドを持つ学生が集い、互いに刺激を与えあうコミュニティは唯一無二。ノーベル賞学者の利根川進氏や、メディアラボの石井裕氏・伊藤穰一氏など、数々の日本人がここで世界に挑戦し続けています。
「知」と「技」、そして近年語られる「心」を兼ね備えたイノベーターを育むキャンパス――それがMITです。もしあなたがテクノロジーで未来を切り拓きたいと願うなら、MITはきっと最高の舞台となるでしょう。