アンソロピックと比較したオープンAI「失速」の実態をやさしく解説
1. タレント流出と採用競争
2026年5月19日、オープンAI創業メンバーのアンドレイ・カルパシー氏がアンソロピックへ移籍したというニュースは、AI業界に大きな衝撃を与えました。アンソロピックはここ1年でオープンAIやGoogle DeepMindから優秀な研究者・エンジニアを相次いで獲得し、「人材の一方通行」とまで言われています。
2. 企業導入シェアでの逆転
米フィンテック企業Rampが毎月公表する「Ramp AI Index」2026年4月・5月版によると、米国企業の有料AIツール利用率でアンソロピック(34.4%)が初めてオープンAI(32.3%)を上回りました。わずか1年前(2025年5月)のアンソロピックの企業導入率は9%にすぎなかったため、その急伸が際立ちます。
3. プロダクト遅延と成長鈍化指標
- 2025年後半以降、オープンAIは複数の新機能を「競合モデルへの対抗策を再検討するため」という理由で延期しました。
- 2026年4月27日のWSJ報道では、同社が月次売上・ユーザー数の社内目標を連続で未達だったことが明らかになり、IPO準備への懸念が高まりました。
- 成長率も2025年の約2倍超ペースから、2026年は20%前後に低下するとの試算が出ています。
4. 資金調達とバリュエーションのギャップ
アンソロピックは2026年2月12日に3.0兆円規模(約300億ドル)の資金調達を実施し、時価総額は3,800億ドルへ跳ね上がりました。セカンダリーマーケットでは一時1兆ドルに達したとの報道もあります。オープンAIも8,300億ドル規模の資金調達を準備中ですが、足元では評価額が8,800億ドル前後で伸び悩んでいるとの指摘があります。
5. それでもオープンAIが持つ強み
「失速」とはいえ、オープンAIは2025年度の年間売上100億ドルを突破しており、依然として最大規模の顧客基盤とマイクロソフト連携によるクラウドインフラ優位性を保持しています。また、2030年までに広告事業だけで1000億ドル規模を目指すなど、大型投資を継続できる資金力も健在です。アンソロピックの台頭は事実ですが、両社の競争はまだ序盤と言えるでしょう。
