スペースX、スターシップV3(第3世代)による第12回飛行試験でインド洋着水に成功
米テキサス州スターべースから2026年5月22日午後7時33分(米東部夏時間)に打ち上げられたスターシップV3は、約65分後にインド洋西オーストラリア沖へ計画どおりソフト着水を果たしました。これはスターシップ・プログラム通算12回目の統合飛行試験であり、V3(第3世代)機としては初の打ち上げです。
1. 今回の試験のハイライト
- 上段(Ship 39)が初めてRaptor 3エンジン6基で飛行し、宇宙空間で22基の模擬スターリンク衛星を展開。
- 大気再突入時には、意図的に一枚の耐熱タイルを外したうえでフラップに過酷な荷重をかける試験を実施し、耐熱システムの健全性を確認。
- 上段は高度約100 kmを超える弾道軌道を取り、世界半周後にインド洋へ制御落下。
2. V3へのアップグレードポイント
従来機(V2)からの主な改良点は以下のとおりです。
- Raptor 3エンジン:推力向上と軽量化を実現し、点火系も再設計。
- タンク容量の拡大と配管レイアウト見直しによる総推進剤搭載量アップ。
- 熱保護システムの改良:タイル固定方法を簡素化し、交換作業を短縮。
- 新設計の発射台2:両方向フレームダイバーターと完全電動「チョップスティック」回収アームを採用。
3. ブースター側の挙動とFAAの評価
分離後のスーパー・ヘビー・ブースターは、湾内への帰還ブースターバーン中にエンジン再点火の異常が発生し、予定より早くメキシコ湾へ落下しました。人的・物的被害は報告されておらず、FAA(米連邦航空局)は現在詳細を調査中です。
4. インド洋着水の意義
スターシップ上段がインド洋へ着水する軌道を選ぶことで、打ち上げサイト周辺の安全空域を最小限に抑えつつ、大気圏再突入から着水までの長い飛行データを取得できました。今後、地球帰還型ミッションや月・火星遠征に向けた耐熱・姿勢制御アルゴリズムの改良に役立つと見込まれています。
5. 今後のスケジュール
スペースXは、V3機の結果を踏まえ飛行13号機(V3-2)を2026年後半に予定しています。また、今回取得したデータをもとに、米NASAのアルテミス計画向け有人月着陸船型スターシップの設計反映を進める計画です。
まとめ
ブースター側に課題を残しつつも、上段の耐熱・再突入システムは良好な成績を収め、スターシップV3の基本設計が実証されました。インド洋着水成功により、スペースXは再使用型超大型ロケット開発の次なる段階へ大きく前進したと言えるでしょう。
