SpaceX上場時の「278兆円」評価額は本当?――アメリカ報道を読み解く
1. 現在のプライベート企業としての評価額
SpaceX(スペースX)は2024年12月の従業員・既存株主向けセカンダリー取引で約3500億ドル(約52兆円※1)と評価され、未上場企業として世界最高額のスタートアップとなりました。
2. 「278兆円」=1.75兆ドルという数字の出所
- 2026年上場を視野に入れた株式公開(IPO)準備の過程で、1兆7500億ドル(約278兆円※1)の時価総額を目指している――とするロイター通信の分析記事が2026年4月に掲載されました。
- 同記事では、急成長中の衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」の契約者数1000万超やロケット再使用による高収益体質が高いマルチプルを正当化している、と指摘しています。
3. 他メディアが報じるIPO想定レンジ
「278兆円」以外にも、米メディア各社は以下のようなレンジを報じています。
- 1兆5000億ドル(約225兆円):ウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグなどが2025年末に報道。
- 2兆~2兆500億ドル(約300兆円):2026年4月時点で「目標額を引き上げた」とするブルームバーグ系記事。
4. 2030年に「400兆円」へ?――長期シナリオの位置づけ
ARK Investは2025年6月のレポートで、モンテカルロシミュレーションを用いて2030年の企業価値中央値を2.5兆ドル(約375兆円)と試算しています。
ただし同レポートは「予測には不確実性が伴い、投資判断の唯一の根拠とすべきでない」と明確に免責事項を示しています。
5. エキスパート視点:数字を読むうえでの注意点
- 為替レート:本稿では1ドル=150円で概算しています。為替が動くと円建ての数字も変動します。
- 未上場企業ゆえのブレ:セカンダリー市場やメディア報道は流動性が低く、評価額が振れやすい点に留意が必要です。
- Starlink依存度:高収益源である衛星通信事業の成長が鈍化すれば、プレミアム・バリュエーションは維持しにくくなります。
- 規制・安全保障リスク:米連邦通信委員会(FCC)の承認や各国の宇宙政策が今後の事業計画に影響を与える可能性があります。
6. まとめ
・「278兆円」という数字はロイターの上場時ターゲット1.75兆ドル試算に基づくもの。
・実際のIPOバリュエーションは1.5兆~2兆ドル超のレンジで報じられており、上場準備が進む中で変動する見込み。
・2030年の「400兆円」はARK Investなどの強気シナリオであり、前提とリスクを理解したうえで参照することが大切です。
※1 1ドル=150円で換算(2026年5月22日時点の概算レート)。
